2025-08-26
【2025年最新】グローバル・ケイパビリティ・センター(GCC)とは?日本企業のインドGCC活用事例とスタートアップ向け導入ガイド
グローバル・ケイパビリティ・センター(GCC)とは、グローバル企業がIT・オペレーション・研究開発などの機能を集約・展開する拠点として、特にインドなど技術力に優れた国に設立する拠点です。
GCCは、オフショア開発や従来のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは異なり、単なる業務の単純な切り出しや外部委託ではなく「自社による戦略的内製化」を特徴とします。
最先端技術の研究開発など、経営上の重要度が高い機能を担い、知的資産やプロセスノウハウを継続的に蓄積・活用することが可能で、企業の中核的な価値創造を担う役割も果たします。
企業が海外拠点を設ける目的と形態が時代とともに変化し、海外拠点のあり方は進化してきました。大きく分けて、以下の3つのフェーズで捉えることができます。
この変化は、開発リソースの「量」のみならず「質」を重視する方向への大きな転換を意味します。
GCCはコスト削減を超えた「価値創出拠点」へと進化しており、生成AI時代の開発体制再構築における中核戦略として注目されているのです。
前述のとおり、世界のGCCの50%以上がインドに集中しています。インド内のGCCの数は2024年時点で1,800社に達し、130万人の雇用につながっています(JLL、2024年2月)。
毎年115社のGCCがインドにおいて新たに誕生し、2025年までに1,900社、2030年までに2,400社を超えると予測されています。
インドにとっての成長基盤は、生産年齢人口の豊富さと若さです。
2025年時点の人口は約14.6億人に達し、既に中国(約14.1億人)を上回り世界最大人口の国となりました。人口の半数近くが35歳未満で、中央値は約29.5歳に過ぎません。
インドのGDPは主要経済国の中で最も高い成長率を誇り、IMFによれば2024〜2025年度における成長率は6.5%と予測されています。
中でも情報技術(IT)・BPO産業はインドGDPの約7〜7.5%を占め、2023年には約540万人が従事する巨大産業です。IT・ソフトウェア輸出額は2,540億ドルにものぼります。
このうち、主要都市であるバンガロール(ベンガルール)には100万人に達するIT従事者が集積し、「インドのシリコンバレー」として世界中のSaaS企業やテック企業の拠点が集中しています。
また、インド工科大学(IIT)やインド理科大学院(IISc)などから毎年大量の優秀な人材が輩出されており、人材の量と質の両面で世界トップクラス。この知的資源が、グローバル企業にとっての戦略的拠点選定を後押ししているのです。
欧米のグローバル企業は、GCCを単なるオフショアの業務委託拠点としてではなく、自社の戦略を牽引する「イノベーション・ハブ」としてすでに積極的に活用しています。
特にベンガルールには、Google、Microsoft、Amazon、Intel、IBM、Yahoo!、SAP、Oracle、Facebook、SamsungなどのIT企業や、GE、Philips、Airbus、Bosch、トヨタ、ソニー、ホンダなどのGCCが存在。コア機能の一部を現地に移し、戦略的な拠点として重要な役割を果たしています。
現地政府の支援政策もGCC活用の追い風となっています。2024年11月には、バンガロールが位置するインド南部のカルナータカ州政府が、インドで初めてGCCに特化した政策を発表しました。
この政策では人材育成の補助や設備投資の助成、認証や特許出願に関する優遇が受けられます。
カルナータカ州政府はこの政策により、2029年までに新規で500拠点のGCC誘致、35万人の新規雇用の創出、500億ドルの経済効果創出を目指すとしています。
(2)現地エコシステム整備
ベンガルール市内部での設備投資助成(最大2案件、総額の40%、4,000万ルピーが上限)。
(3)ベンガルール以外の地域に対するインフラ整備と投資優遇
新規GCCに対するオフィス賃料を一部還付。
(4)規制緩和
ベンガルール市内部に所在のGCCに対して、品質認証取得手数料の半額を還付(上限60万ルピー)。
ベンガルール市内部に所在のGCCに対して、国内特許出願時の法定手数料の半額を還付(上限20万ルピー)。
戦略コンサルタント、不動産サービス、法務・税務の専門家などのサポートが受けられる、GCC専用の相談窓口を設置。
インド初のグローバル・ケイパビリティー・センター政策、カルナータカ州が発表(インド) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース
日本ではIT人材の不足が深刻化しており、2030年には最大で79万人のIT人材が不足する可能性があると予測されています(経済産業省)。
スピード感を持って価値あるサービスを提供するためには、国籍や地域にとらわれない多様な人材の登用が不可欠です。グローバルな人材の活用や多様性を前提としたチームづくり、世界基準の採用体制を整えることが、日本企業にとって競争力強化の鍵となります。
欧米企業に比べ、日本企業のGCC進出はまだ始まったばかりといえる段階ですが、国内での高度IT人材の不足や海外市場への対応力強化を見据えて、インドにおけるGCC設立を模索・実行する企業も増えつつあります。
特にメルカリ、楽天、マネーフォワード、ログラスといったIT企業を中心に、インドの高度人材を活用した開発拠点の設立が進んでいます。
急成長を目指すスタートアップにとって、プロダクトの開発スピードと市場投入までのスピードは生命線です。
特に内製志向が強く、自社で技術力を確保しながらプロダクトを磨き込んでいきたい企業にとって、GCCは非常に有効な選択肢です。
テクノロジーと人材に対して積極的に投資し、開発スピードを加速させたい企業にとっては最適な選択肢です。特に、プロダクト志向で内製化を重視し、事業成長に必要なエンジニアリング体制を柔軟かつ主体的に構築したいスタートアップにフィットします。
一方で、GCCという形がフィットしづらい企業も存在します。以下のようなケースでは、BPOやオフショアの開発委託などの方が適している場合があります。
日本企業が、インドなど海外で初めて自社のGCCを立ち上げる際には、多くの障壁が待ち受けています。たとえば、次のような課題がよく見られます。
加えて、日本企業の多くはグローバル人材市場における「雇用ブランド」が確立されておらず、GoogleやMeta、Accenture、TCSなどといった名だたるグローバル企業に比べて、優秀な人材にとって魅力的な就職先として認識されにくいという課題もあります。
特にインドでは、企業の技術的チャレンジ度やキャリアの将来性が強く意識されるため、企業のビジョンやプロダクトの魅力をどう伝えるかも重要です。
このような課題をクリアし、リスクを最小限に抑えながら、インドの高度IT人材の力を柔軟に活用する手段として有効なのが、信頼できるパートナーを活用した「段階的なGCC立ち上げ」です。
GCC設立を成功させるには、自社の規模・目的・文化に適したパートナーを選ぶことが極めて重要です。プレイヤーごとに強みや支援スタイルは大きく異なります。
【特徴】
ANSRをはじめとするグローバル支援大手は、すでに数百社以上の大規模GCC設立を手がけた実績を持ち、オフィス設立、採用、運営までを包括的に支援します。特に100人以上の体制構築や長期的な拡張計画に強みがあります。
一方、支援は基本的に英語で行われ、日本企業特有の文化や意思決定プロセスに対する配慮は限定的であるため、日本語対応や現地とのブリッジ機能は期待しにくいといえます。
【向いている企業】
【特徴】
マッキンゼーやデロイト、KPMGなどのコンサルティングファームは、戦略立案から法務・税務、IT基盤整備まで幅広い支援が可能です。多くは大規模プロジェクトやDX案件全体の一環としての支援が中心となり、将来的にはGCCを数十人〜数百人規模に拡張する意向がある大企業に適しています。
ただし、アプローチは比較的テンプレート化されており、意思決定や実行には一定の時間とコストを要します。
【向いている企業】
【特徴】
Tech Japanは日本企業に特化したGCC立ち上げ支援を行っており、10人以下のスモールスタートから柔軟に対応可能です。日本側との文化や業務理解を持つブリッジ人材を活用し、現地との円滑な連携を支援します。特に初めてのインド進出において、不安を解消しながら前に進めるサポートが得られる点が強みです。
【向いている企業】
ここまで見てきたように、インドにおけるGCCは、日本の企業にとって極めて有力な開発戦略の選択肢です。一方で、自社単独での立ち上げには高いハードルがあるのも事実。言語、文化、意思決定プロセス、現地法務などは、いずれも無視できない課題です。
そこで「スモールスタートでインド開発拠点を経営戦略に組み入れたい」という企業に向けて、Talendy は、これまでにない柔軟なGCC導入の選択肢を提供しています。
Talendyでは、BOTモデル(Build-Operate-Transfer)を採用し、初期費用・リスクを最小限に抑えながらインド開発体制を構築できます。従来のように数百人単位の投資が前提となるのではなく、数名のコアチームからスピーディに立ち上げ可能です。
まずは少人数・試験的に開発をスタートし、成果やカルチャーフィットを確認した上で、必要であればそのまま内製化(自社拠点化)にも移行可能。成果が期待に届かなければ途中で見直すこともできる、柔軟な選択肢を提供します。
Talendyは、日本企業によるインド開発の支援に特化したチームです。
これまで150社以上の日本企業を支えてきた実績があるTalendyは、経験豊富な日本人コンサルタントがオンボーディングから日常の運用までを日本語でサポートし、日本的な業務文化や組織構造を理解したうえで最適なアドバイスを提供します。
海外人材採用に不慣れな企業でも、Talendyの採用エキスパートがインド人材とのマッチングからエンゲージメントまでを一貫して支援します。
2018年より経済産業省や在日本インド大使館とコンソーシアムを共同運営するなど、公的機関とも連携した信頼ある支援体制を構築しています。
Talendyはインド工科大学が導入している唯一のインターン・採用プラットフォームを提供しており、質の高い人材が在籍しています。
トップ1%のエンジニア層を中心に、1万人以上の人材データベースを保有し、高度な技術力と将来性を持った人材へのアクセスを可能にしています。
私たちTalendy自身のチームも多くのインドトップ人材を採用し、インド人エンジニアが多数在籍(全体の1/3)しています。自社での採用・エンゲージメント・マネジメントノウハウをクライアントにも惜しみなく提供いたします。
インドに現地法人がない企業でも、TalendyのEOR(雇用代行)サービスを通じて、現地の優秀なエンジニアを即座に採用・雇用することが可能です。
人材の雇用契約・給与・福利厚生・税務処理などの煩雑な業務はすべてTalendyが代行。法人設立にかかるコストや時間をかけずに、即戦力となるインド人材をチームに迎えることができます。
また、将来的な現地法人設立を見据えて、人材をプールしておくことも可能です。拠点設立のタイミングには、既に信頼できるチームが整っており、スムーズかつ効率的な内製化が実現します。
GCCの導入は決して「大企業だけの戦略」ではありません。今後の成長を加速させたいスタートアップや中堅企業こそ、柔軟で現実的なアプローチでの導入がカギとなります。
Talendy GCCは、そんな企業のための実践的なソリューションです。ご関心がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。